カテゴリ:読書( 44 )

梅雨の長雨と読書はとても仲がいい。
ベッドでゴロゴロ、ダラダラしながら読みきってしまった。

この本はちょっと子供向けだったかも知れない。
いや、大人になりきれない大人が読むべきかも知れない。
親があまり教えてくれない「お金」についての話を中心に、西原さんの幼少期から大人になってからの生活を描いている。
西原さんの語り口があっけらかんとしている分、言っている事のリアルさが「逆に」強いスポットで照らされているという感じがした。

自分は昭和50年代に生まれて、西原さんの生まれ育ったような底辺の家庭(あえてこう表現する。)には育っていなかったが、割と身近にそういう世界はあった。
目の端でそういう世界を見ながら「こうはなりたくない」と思ったもんだ。
そう思いつつ、やはり何も学んでいなかったのも事実。
子供のうちはそこからの影響を真正面に受けるだけの度量も見識もないもので、いつも目を背けていたんだろうなぁ。(だから目の端で見てたんだと思う)
もう所帯をいつ持ってもおかしくない大人である今では真正面にそれを見据えておきたい気持ちがある。
そのうち生まれるだろう我が子にそういう世界を心の隅で知っていて欲しい気持ちもある。
なんとなく子供には見せたくないお金の話を大人に聞かせてもらった。
そして、もうちょっと早くこの勉強ができていればあの過ちもなかったのかなぁなんて思ってる。

まー、後悔なしで生きるなんてキレイゴトはないよなぁ。
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by shivaryu | 2011-06-12 21:07 | 読書
機械制御研究部、略してキケン。
危ないって意味も含めてキケンな部活のお話。
男だらけでノリ(無茶も込み)で若気が至っちゃう感じのストーリーになってる。

空気感は究極超人あ~る(漫画・ゆうきまさみ)に近い。
って言うと登場人物が多いイメージがあるけど、OBは出てこないし、設定上3・4回生も出てこず、部長と副部長は2回生、そしてメインは新入生たち。

この作品や前述のあ~るほど破天荒な「活動」はしてないけど、"思い出補正"込みでこういう輝かしい(大人になって思えば)馬鹿みたいな事やって楽しんでたなぁっていうのはある。
現役の高校生や大学生が読んでも楽しめるエンタテイメント性もあるし、大人が読んでも「馬鹿だねぇw」と思える要素もあって、読み進むのが楽しみになる。

2回生で部長の上野は通称ユナ・ボマー・・・爆弾テロリスト
そして副部長が大神。名前を一文字隠す男・・・つまりは大魔神。
とにかく関わらないほうがいい、あいつらはキケンだと評判の機械制御研究部。
そこへ新たに1回生が9人加わるところから始まる。(主要なのは2人だから心配いらんよw)

一番面白いのはやっぱり学園祭かなぁ。
毎年「らぁめんキケン」の店名で模擬店を出すのがキケンの通年行事で、一年の部活動費をこの利益でまかなっているのだそうだ。
主人公の一人、新入生・元山は親が喫茶店を経営しており、何かと原価計算なんかも詳しい。
それゆえ「さすがお店の子(元山) 今年の店長にお前を任命する!」と上野が決定し、1回生でお店を回す事になる。
今までのやり方を上野や大神に聞く。
5日間ある学園祭のうち1日か2日、抜群においしいラーメンができる時がある。
(それはその辺のラーメン屋をしのぐほどで、奇跡の味と呼ばれている)
作り方を聞いていると結構荒っぽく偶然任せで、確かに「奇跡の味」にならざるを得ない・・・と元山は気付き、ダシから研究を始めた。
元山の試行錯誤の結果、奇跡の味を超えるものが出来上がる事になる。

このあたりを読んでるとすごく自分の学生時代の記憶が蘇る。
いや、そんなマジメに模擬店やってないけど、クタクタになるまで楽しんだ記憶が呼び起こされる。
そんな作品だった。非常に読んでて楽しかった。
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by shivaryu | 2011-06-12 08:42 | 読書
短編集です。
著者は、吉田修一・森絵都・佐藤正午・有栖川有栖・小川洋子・篠田節子・唯川恵・堀江敏幸・北村薫・伊坂幸太郎・三浦しをん・阿部和重(作品順・敬称略)となっている。
別に著者で惹かれた訳ではない。
いつも通りにパラパラっとめくって「面白そう」と感じたから手にとってそのままレジへ持って行った。

全てがA面/B面という形で形成されており、話に出てくる二人の人物それぞれの視点から描かれているもの。

一番面白かったのは有栖川有栖さんの「震度4の秘密」
結婚が差し迫った男女二人の震度4にまつわる秘密のお話。
男は結婚するに当たり身辺整理をすべく彼女に嘘をついて「出張」をする。
出張先のホテルで彼女に一本の電話。
その時、震度4の地震が起こるのだ・・・と言っても、自分が居る場所ではなく「出張先」で。
一方、女は・・・というお話。
これが一番秘密っぽいよなぁ、と思った。
自分ならどうする・・・?とか12作品中最も入り込んでしまった話だったのでした。

ほほえましい恋の話が多く、全てが一面約3~4ページと軽い感じ。
メディアファクトリー発行/ダ・ヴィンチ編集
ここの短編集、割とサクサクいけていいかも。
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by shivaryu | 2011-06-10 22:39 | 読書
(言い訳)
実は5月はONE PIECE読破月間でした。
連載開始当初、ジャンプで少しだけ読んでおりましたが、何かの理由で読まなくなり・・・その後、恥ずかしながら「ONE PIECEトークに雰囲気で乗っかる」という手法でやり過ごしておりましたw
で、GWの予定がいろいろガタ崩れになったのもあり、一気に62巻読破してやろうと思い、家でゴロゴロしながら読み進めてた訳です。
だから、小説とか読めませんでした。
(言い訳おわり)

さて、紺野作品をまた見つけてしまったので購入し、通勤のお供にすること1ヶ月・・・やっと読み終えた。
「ツクツク図書館」とは通称である。筑津区にある「図書館」だからそう呼ばれている。
正確には門前に掲げてある看板は「図書館」でしかない。
この市には中央図書館とこのツクツク図書館の2つしかない。

さて、このツクツク図書館だが、おもしろくない本しかない図書館だ。
普通は面白い本もあれば面白くない本もあるのが図書館だろうと思う。
だが、ここにはおもしろくない本しかない。
そんな図書館に新たに職員として入る「着ぶくれた女」を主人公としたお話。

非常にユニークな図書館であるのは上記の通り。おもしろくない本しかない、って・・・。
そして作りもユニークで、廊下がないのだという。部屋と部屋が繋がってる状態なのだ。
と、とても面白い図書館なのだが、誰でもいける訳ではないらしい。この図書館は来る人を選ぶらしい。
それゆえか(面白くない本しかない事で有名だからか?)来館者はほぼいない。
そんな図書館の職員は何をするのか。図書館にある誰も手に取らない本を読むのだそうだ。
面白くない本を読む・・・なんという苦痛。
そんな日常と徐々にあらわれる変化を描いた物語。

紺野キリフキさんの文章って読み飽きない。
とても読みやすく、とっついたらスルスル最後までという感じではある。
って本棚荘の時も書いたっけ・・・?w
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by shivaryu | 2011-06-01 00:59 | 読書
ハードボイルド・エッグの続編。
前作同様、ハードボイルドに生きる私立探偵「フィリップ・マーロウ」に憧れる男のお話。
殺人事件等には全く関わりなく日々をペット探しに費やす私立探偵・最上俊平の物語である。

そもそもの「フィリップ・マーロウ」を知らないが…名言である"タフでなければ生きていけない"の人と言えば何となくハードボイルドの人であるのはわかってもらえるんだろうか?
(私自身は北方謙三あたりが葉巻をくゆらせつつ言ってるもんじゃないかと思っていたが。)

で、まぁ本作も前作に続いてペット探しを軸に美人な依頼者や暴力的な方々を絡めてのハードなお仕事を描いている。
失踪したペットを追うのだが、そこにはマーロウ好きな方々が(おそらく)ニヤリとするような言い回しがあるのは前作に同様だが、著者はペット、特に猫に関して相当の知識を持ち合わせているだろう事が窺える記述もある。
いや、本当に失踪したペットを明日からでも探せそうなノウハウ(っぽいこと)が詰まっているのだ。

ああ…前作は失踪犬の捜索が軸だったが、本作は失踪猫の捜索である。
猫が好きな人はこちらを読んでほしい。
多分、猫に関する知識が詰まっているので「ほほぅ。」とうなずいてもらえるものがあると思う。

前作に比べて若干ボリュームがあるが、退屈なのは冒頭だけ。
ハードボイルドに関する記述が若干面倒だが、徐々に読み慣れてくればサクサク行けるはず。
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by shivaryu | 2011-05-03 23:04 | 読書
タイトルに惹かれて購入。
読み始めたらするする進んだ。読了までおよそ3日。

「昔はね、家賃を払えない時は本で払ったものなのよ。」という大家さん。

これは東京のとある場所にある本棚荘のお話。
最初はこの冒頭の文章から「だから本棚荘なのかー」って思ってた。
違うのだ。このアパートの中ほとんどが本棚なのだ。
廊下はもちろん、各部屋にそれぞれ違う本棚が置いてある。

山に住んでいる"とげぬき師"の姉妹。
林業が盛んゆえ、とげぬきの仕事も繁盛していた。
主人公はその妹である。
姉はとげぬきの名人であり、その腕に頼るお客も多かった。
一方、妹も腕は確かなのだが姉とは違うようだ。
姉いわく「あなたは上手すぎる」のだそうだ。

姉は山だけでこんなに需要があるのだから、都会の東京にはもっと必要とする人がいる、そう信じて山を下りて都会へと旅立った。
山で祖母と二人で過ごしていた最中に連絡があった。
「もっと多くの人が必要としている。だから海外へ出る。お前は留守番をして欲しい。」
折りしも山のふもとの会社で事務員をしていたのだが、不況の煽りで辞めさせられたため、ちょっとだけ興味もあった事だし東京へ出る事にする。
そしてたどり着いた本棚荘。
そこに住む猫遣いの男、多くの時間を眠っている女・・・そしてとげ抜き師の妹。
ユニークなキャラ達との束の間の物語。

設定の不思議さもさながら、詳細に説明しない事で読者の想像に任せる部分が多い。
しかし説明していないのに、おぼろにどういう事なのか見える・・・ようで見えない。
そこに物語へ引き込む要因があるんだと思う。
主人公の「とげ抜き」に関してもそう。
冒頭に山に住んでいること、林業が盛んな場所であることがあるので、本当に木のトゲを抜く人なのかなぁと思っていたけど、徐々にトゲとはどのようなものなのかが話の流れに沿って明かされていく。

本屋さんで見かけたら手にとってパラっとめくってみて欲しい。
その瞬間にきっと引き込まれる事だと思う。
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by shivaryu | 2011-03-28 18:01 | 読書
図書館戦争を読んだ後に本屋でやたらと露出が高くなったなーと思ってたら・・・この作品は映画化され、4月に公開されるのだそうだ。
その影響?で有川浩さんの作品が軒並み文庫化されている。

って事で手にとってみた次第。
今作は阪急電車・今津線を舞台としたヒューマンドラマ。
電車に乗る人たちを1駅ごとに区切っていくもの。
往路ではそれぞれ駅で乗る人・降りる人を交差させつつ、時に接点を持たせてそれぞれの背景を変化させていく感じ。
一方、復路では往路の影響によって変化した人たちの数週間、あるいは数ヵ月後を描いたもの。
軽く読める内容でありながら、主要人物が幸せになっていく様子がとても安心できる。

ちょっと泣いた。
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by shivaryu | 2011-03-10 14:31 | 読書
本屋さんで何か読む本ないかなーって物色してると平積みされてる本作が目に入った。
冒頭だけサラっと見て探偵モノで「まぁたまにはいいよなー」って感じで。
でもえらく時間がかかった・・・読了して面白かったなーという感想なのに。
別に文章が重たいとかそういうのじゃなく。内容が眠いとかってのでもなく。
多分、予想に反した長さだったからだと思う。
名探偵コナンみたいなもんだと思って読むと息切れする。
だってコナンは短いストーリーで1~2話完結でしょ。
本作は一冊で一つの話、イメージ的にコナンが10話ぐらいかけて展開する感じだからw
甘く見積もったらダメだね、うん。

現実ってこんなもんよなーw っていうハードボイルド小説。
ぶっちゃけ、時代錯誤ではあると思うのね。
それゆえの現代社会(=現実)との落差が楽しい。

レイモンド・チャンドラーを読んだ事はないのだが・・・こんな回りくどい言い方するもんなの?っていう文体。
・・・いやぁ、ハードボイルドってこういうもんか。
何かに付けて皮肉っぽい言い方。比喩表現・・・あれ、私こんな言い方するなぁw

そして、おそろしくツンデレな主人公w
男のツンデレってこういうの・・・だよね?っていう。
ハードボイルドに行きたくて探偵になった男。
殺人事件なんかを解き明かしたいのに、なぜか手元に来るのはペットの捜索や浮気調査ばかり。
今日もええもんのローファーをドブの水に濡らしながらいなくなったワンコを探す訳です。
美人秘書が欲しい!とかって言い出してペット捜索のポスター貼りつつ、美人秘書募集の貼り紙をしたりして・・・結果は読んでのお楽しみではある。
そこから話がトントンと転がっていき、そのまま話は続いていくんだと思ってたら・・・エンディングでほろっと来た。

続きとして「サニーサイド・エッグ」という作品があるので、また今度読もうと思います。
(平積みされてたのは多分、続編が文庫化されたとかそういう事だと思う。)
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by shivaryu | 2011-02-21 03:06 | 読書
年が明けた頃に読み終わった次第。
ちゃんと思ったところに話の焦点が行き着いた事に溜飲が下った感あり。

物語はよくわからないルール性の下で始まり、多くの犠牲を生みながら、学年全体で生死を問うところへ行き着く。(ここまでが上巻)
そしてそれを裏切る者が現れる事でクラスごとに如何に生贄を捧げ生き残るかへと遷移する。(ここまでが中巻)
最後にゲームは終盤戦へ、個人が如何に生き抜くかへと遷移していく。

つまるところ、人は自らが生きる事を止める事ができない。
誰かに死ぬよう指示できない分、自ら死を選択する事ができない。
このジレンマの下に生きているのである。

生きること、死ぬことといった高尚なテーマでこの物語を捉えて解釈しないと・・・ゲーム性とかエンタテイメント性においては若干パンチの弱いオチかなぁ、とは思う。(特に下巻は。)
そして、この着地については思った通りというか、予想の範疇であり、安心した。
変に突き放される訳ではなく、中巻までで考えさせられたポイントへたどり着き、かつ、それぞれのキャラクターの終点・結末へ収束していった点はさすがといった所だと思う。
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by shivaryu | 2011-01-02 03:51 | 読書
購入して即日読了。軽くて非常に読みやすかった。
続編という事で、1作目の読了が必須。

1作目は江戸時代の侍・木島安兵衛が現代にやってきて、半年を過ごし帰って行った。(多分、元の時代へ。)
本作は現代の子供が江戸時代へタイムワープしてしまう。
その現代の子供というのが1作目ではまだ小さかった遊佐友也である。
友也が中学生になり、何をしてもイマイチで、熱くなれずにくすぶっていた最中にタイムワープ。
江戸時代へ渡ると、ブリーチで茶髪にしてた事によって紅毛人(こうもうじん=つまりは外人さん)と勘違いされたりする。
おりしも幕府が鎖国政策を決定した頃とあって、ピリピリしている。(蘭学だけが認められていた頃。ペリーはまだ来てない。)

安兵衛の生家を訪ねるも不在。
なんでも神隠しにあって半年の間、姿を消していたが突然戻ってきて、侍をやめて菓子職人に。
しかしそれも飢饉などの影響で食材の価格が高騰。立ち行かず、安兵衛の店は閉まっていた。

友也はいつか聞いたことのあるタイムワープで江戸時代に来ていたので、安兵衛に会えば何とかなる、と思っていただけにすっかり肩を落としてしまう。
しかも紅毛人だと追い回され・・・そこで麟太郎という少年と出会う。 そう、勝麟太郎、つまりは勝海舟である。

現代人が忘れかけていた何かを友也は取り戻して行く。そして現代へ帰って行くのだが・・・その道のりは長く険しいものなのである。
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by shivaryu | 2010-12-19 10:03 | 読書