カテゴリ:読書( 44 )

映画化が決定している作品。
もうすぐ文庫版が出るとか・・・待ってもよかったやも知れぬ・・・。

本作はドラマ版のキャスト陣が全て揃う上に、原作では少し登場していながらドラマ版には出ていなかった捜査一課長が出てくる。

冒頭から当然のごとく人が死ぬ訳だが、特段なんという事はないチンピラ。
とはいえ、こうなると捜査一課(殺人捜査)のみが動くという事ではなくなる。
組対(組織犯罪対策部)四課との合同捜査という形になる。
ここのところ失態の目立つ組対四課としてはこのヤマは落とせない、と士気を高めて挑む。

捜一と組対がツーマンセルで捜査にあたるのだが、このコントラストがまた面白い。
今までは捜一の、つまりは殺人についての捜査を主眼とした描かれ方だったが、今回は組対が主導権を持って捜査に臨む形で、対組織への捜査が主眼になっており、事件へのアプローチの違いが興味深い。

既述の通り、組対が主導権を持って捜査を進める形で時間は経過していくのだが、被害者はなんという事のないチンピラで、本当に組織が抹消すべきとも思えないほどの小物。
それほど被害者は所属組織にとって大きな利益も与えず、敵対組織に脅威も与えない存在という事が明るみになっていく。
そんな中、捜査本部に一本のタレコミが入る。犯人は○○だ、と。
○○とは一体誰なのか、被害者との関係は何なのか。
これを調べると驚くべき事実が発覚する。それは過去の捜査における冤罪の可能性だった。

ってな事で、姫川は今までまっすぐなまでに事件を捜査し解決に向かっていたにも関わらず、上層部からの圧力により○○については捜査をするなと言い渡され、どう立ち向かうのかというお話。

三浦友和さん演じる捜一課長・和田とイマハルこと今泉係長、そしてガンテツの過去話も盛りだくさんで、姫川の周辺にもスポットがあたり、ますますこのシリーズへのめりこんでしまった。

次はドラマでは手短に描かれていた感染遊戯を読む。
[PR]
by shivaryu | 2012-07-20 23:44 | 読書
インビジブルレインは文庫で出ておらず、持ち出し用としてこのヒトリシズカをカバンに入れていた・・・らそらぁ先に読み終わるわなw
ちと大きいけどインビジブルレインをカバンに入れる事にしたわw

さて、この作品は6つの刑事モノ短編が連なり、一つの事件というか一人の女を描いている。

それぞれ所轄の警察官(制服)がメインとなり事件に関わるのだが、その事件の影に一人の女性の姿がある。
何故そんな事件に関わったのか、何を理由に事件を起こしたのか・・・それら全てが最後の話で繋がる。
全ての事件が決してまっすぐに解決はしないもののスピードを失わず転がっていく感じで、(書評家でもない私が言うと非常にチープなんだけど)誉田哲也的な作品だと思った。

それにしても刑事や捜査についての誉田氏の描き方というのはどこかドラマにあるような風がありながら、臨場感が漂っているものが多い気がする。
ドラマ的な要素というのはごく普通の一般市民でも思いつくレベルで、イメージしやすいもの。
臨場感が漂う部分は「へぇ、そういうもんなんだな」と納得させるような説明と文字面。
誉田氏の作品群を事件現場で働く本職の人が見たらどう感じるのだろうか、と気になった。
[PR]
by shivaryu | 2012-07-14 16:24 | 読書
姫川玲子が携わった7つのエピソードからなる短編集。
この一冊のエピソードの半分がドラマ化されているので期待していた部分があった。
中には警部補になる前、まだ所轄から警視庁へ上がる前のものがあり、これを読むと姫川玲子が警部補という役職へ上ることをどれほど願っていたかというのが見えてくる。

「東京」
品川署強行犯捜査係に所属していた頃のエピソード。
刑事としてのイロハを学んだ姫川の師匠とも言える刑事との話。
鋭い勘で捜査を進める姫川だが、ここで刑事としての基礎を学んで現在のスタイルを形成したのだなと思わされる。

「過ぎた正義」
ドラマ化されたエピソード。
警視庁を辞めた男を追う姫川。
その男は元警部補・倉田。
姫川が現職刑事として持つ正義で職を辞した倉田の(姫川からすれば誤まった、過ぎたる)正義を正そうとする話。
原作とドラマで少々違う点がある。
在庁(事件発生に備えて待機の状態)や非番の時間を使い倉田を追い、ついには二人は対面する事になるのだが、原作では姫川なりの正義で倉田の誤りを正す事を宣言する所で終わる。
ドラマではその後に倉田がどうしたか、鍵となる倉田の息子がどうだったかも描かれている。

「右では殴らない」
ドラマの中で一番惹き付けられたエピソード。
原作は意外に淡白な感じだった。
ドラマでの竹内結子の迫真の演技がよかったなぁ。

「シンメトリー」
ドラマ第一話。これも衝撃的だった。
列車事故に関わる事件で、事故の発端となった車の運転手が殺されるもの。
ドラマでは運転手と事故によるある犠牲者の親族も殺されてしまうのだが原作ではそれは書かれていない。

「左だけ見た場合」
霊的なもの、超能力など非科学的な現象を信じない姫川。
まぁ、そんなもの信じていては現実に起こる殺人など捜査してられない。
謎の変死体があって、死因も凶器もよくわからないから「あぁ、これはエスパーだな」なんて言ってたら警察なんて必要ないってな話ではある。
だがしかし、現実的にどうしても科学的に証明できない事もある。というような話。
いや、事件自体はちゃんと解決しますが・・・・・・

「悪しき実」
これもドラマ化されたエピソード。
自殺と思しき遺体が発見されたと通報がある。
だが通報者は電話をした後にどこかへ去ってしまった。
在庁していた姫川班に出動要請がかかるがイマイチ乗り気でない。
一課は殺人事件の捜査がメインである。なのに自殺と思しきって、と。

「手紙」
姫川の元へある女性から手紙が届いた。
警視庁捜査一課へ異動が決まる少し前に犯人を挙げた事件の犯人だった。
非番の時間を使い、姫川は彼女に会いに行く。
「過ぎた正義」にあるのだが、姫川は"殺人犯なんて捕まえたらさっさと殺したらいいと思っている"のだが、このエピソードで少し感情に変化があるように思う。
必ずしも殺人を犯した者が再犯を繰り返す訳ではない。
確かに一線を越えてしまった者は歯止めが効かなくなるのはあるだろうけれど。

っと、エピソード名も全部並べるとシンメトリー。
姫川の過去エピソードを前後両端に加えて、サブタイトルも対称的になってたりする。

次は映画になる「インビジブルレイン」を読む。
[PR]
by shivaryu | 2012-07-08 19:51 | 読書
…まさか読了しているのに書いていないとは。

誉田哲也氏の書く刑事モノの小説。
フジの2時間ドラマで映像化されており、これが好評を博し火曜ドラマ枠で連続化、近く映画公開も決定している。
小説自体は書評者いわく「女性刑事小説の三本柱たりうる作品」

主人公は姫川玲子、29歳、警部補。
警視庁捜査一課十係に所属する主任刑事。
いわゆるハンチョーである。

班に所属する部下にも恵まれ、また上司にも恵まれた女性刑事。
容姿端麗、頭脳明晰。
でも強いてあげるなら…強いてあげる点が多いわw
彼女がノンキャリアで若くして警部補まで駆け上がった経緯には理由がある。
直観型の刑事で、ピンとくるものがある。
まぁトンデモな推理ではなく、様々な要素あっての閃きによる推理で事件の真相へ近づいて行くのだが、その一足飛びに解決に向かう様を苦々しく思う同課別班。
特に女性でイッパシの刑事やってるのが気に食わない者もあったりする。

合同で捜査する事となった公安上がりで情報戦に長けたのガンテツこと勝俣警部補との確執や、姫川班の面々との人間模様も描かれていて面白い。
読んでいてどんどん姫川玲子の中に入り込んでしまう感があった。

私は連ドラを見て非常に面白いと感じ、原作へ回帰する形で読み始めた。
(毎週火曜は21時に帰って、間に合わない時は録画していたほど…これは私的には近年まれに見る行動w)
そのため原作のキャストをドラマ出演者に仕立てて脳内映像化していたのだが、割とギャップはなかった。
明らかに違うと感じたのは、菊田という男。
姫川班の副リーダー的な位置の巡査部長で、ドラマでは西島秀俊さんが演じているのだが…どうにもこれだけは原作と違う。
作中でゴリラと称される程の男、と言えば違うのはすぐわかるかと思うw
誉田氏は作品に登場する人物には細かに俳優を設定するとの事で、必ず「原作者の設定する演者」がいる訳で…原作菊田=照英かなぁ?とちょっと予想した。
しかしながら、ドラマ版の西島菊田も味わい深い。
西島さんが原作菊田をそのまま演じると、そもそも野暮ったい男なので合わないのだが、西島菊田は原作菊田にない男の色気があり、補って余りある。
原作を読み終えて、ドラマ(DVDにもなってます)を見て、改めて良さも見えてきた。

そう考えるとドラマから入って原作へ進んだのは正解だったかも知れない。
(うまく補正しながら脳内映像化できているから。)
面白いから姫川シリーズはとりあえず読み進めて行きますよ。
[PR]
by shivaryu | 2012-06-28 14:01 | 読書
ストロベリーナイトに続く姫川玲子シリーズ。
ドラマではラスト3話を使って描かれた。

事件の真相についてのプロセスも面白いが、姫川とサブキャストとの関係の進展も面白い。
姫川が苦手とする日下と共に事件解決に向け捜査を進めるのだが、直感型の姫川と、実証型の日下では流石に噛み合わず、彼女の対抗心は浮き彫りにされ、スピーディーとまでは行かないが、丁寧かつダラダラ感なく話は進んでいく。

日下は姫川と同じ捜査1課10係に所属する警部補。
同課・同等級ゆえにライバルではあるが、それ以上の敵視っぷりとその理由が描かれている。
ストロベリーナイトでは盲腸を患い、終盤に少しだけ登場するのみ、しかも姫川が一方的に敵視している面を書かれているだけだった。
だが、姫川が思うほど嫌な男ではない事が彼と菊田の対話や家庭との向き合い方、または上司である今泉が姫川に聞かせた日下の過去話に表れていて、読んでいる大半は姫川に魅力を感じているだろうが、本作品を読めば姫川が嫌がる日下にも多少の愛着を持つのではないかと思う。
少なくとも私はいい刑事だなぁと魅力を感じた。
(まぁこの作品に出てくるメインキャストは魅力的な人間が多いが。)
また、ドラマではほぼ描かれていない姫川と菊田の恋愛の進展もうかがえる。
次作でどうなるのかは楽しみだが、菊田じゃダメだろうなぁとか想像したりもw

次は短編集「シンメトリー」
ざっとパラ見した感じではテンポよく読めそうな気がしてる。
[PR]
by shivaryu | 2012-06-28 11:44 | 読書
文春文庫のオムニバス。
阿川佐和子、石田衣良、角田光代、熊谷達也、小池真理子、重松清、朱川湊人、高樹のぶ子の8人による「香り」をテーマとした読み切り集。

なかなか読む時間がなくて結構かかったなぁ。
でも一本がさほど長くないから、都度読み進めてやっと読了。
まぁ筋がそれぞれ違うから説明は抜きとして。
「コーヒーもう一杯」という重松清さんの話は同じ事があった訳ではないけど、似た思いを追体験するような感覚に陥り、すこし目頭が熱くなった。

私にとっての記憶に残る香り。
やっぱり珈琲かなぁ。カナじゃなく感じ。
自分で淹れる時にその記憶と共にある感覚を呼び起こしてむず痒いような気分にひたってしまっているのかもなぁ。
珈琲をよく飲むようになり、それなりに自分のこだわりが出てきたのは高校を出た頃だから、やっぱり大人になった感覚には珈琲の香りがあるし、生活とフィットしていたからどんな場面にもまとわりついていたのかも知れない。
ある時は仕事がうまく行かなかった悔しさ、気配りができず相手を不快な思いにしてしまった悔しさ…あれ、苦い思いが多いな、とか思う。
本文中に"コーヒーの味は不思議だ。それだけなら苦いのに、胸の奥に苦い思いがあると、それを包み込んで、むしろほんのりと甘くなる"とある。
読んだ時になるほどー、と思ったもんだ。
そして、自分はいつも苦々しい思いをしてるんだろうか、なんて振り返ってしまった。

苦さを知るからこそ甘みをありがたく感じるもんだから、まーそういうバランスだなぁ。
[PR]
by shivaryu | 2012-05-20 16:34 | 読書
色々と戦国時代というものが腑に落ちた読本。
漫画はオマケ、読物主体なので軽いものをと手に取ると大変な事になりますよ?

「センゴク」の宮下英樹さんの漫画で問題提起、本郷和人さんの解説で進行する。
この本では戦国時代とは何だったのか、侍の本領は何だったのか、侍とは大名とは何なのか、天皇・貴族と大名・侍の関係性…などなど、実際の史料の情報から仮説を立てて書かれている。
まぁ本当の正解ってのは無いので、こういう説があってこうだと思うよってな話になってますな。

その昔、中学とか高校で漠然と「六波羅探題」だの「征夷大将軍」「守護」「地頭」という地位の名前を覚えさせられてたけど、結局のところそれが何をしてて、どんな意味があったのかなんて考えてもなかった。
ただコトバとして頭に入ってた感じ。
まぁそういうのがどうして与えられていたか、名乗っていたかというような話がスーッと入り込んでくる感じで、すごく楽しめた。

戦国時代により理解を深めたい人は読んで損はないかと。
難しい専門書じゃないから平易な言葉でわかりやすく解説されてていいですよ。
[PR]
by shivaryu | 2012-03-20 20:56 | 読書
随分と長く時間をかけて読了したものだ。
感想もどう述べていいやら悩むものだ。

あらすじはこんな感じ。
時代背景は近い未来。
主人公はアメリカの特殊部隊に所属する男、クラヴィス・シェパード。
彼の主な任務は暗殺。
世界各地で起こる内乱にそっと介入し、主要人物を暗殺する。
世界の影の部分で蠢く仕事だ。

まず近い未来がリアリティ溢れる描写になっていて、およそ「2001年宇宙の旅」の描く未来とは似ても似つかない。
(あえて名作を貶める表現をさせてもらう。)
ここに出てくる「未来」は本当に近く世界で採用されてもおかしくないであろうと想像できるもの。
そんな世界の中へ、現代に見られる世界を切り取って貼り付けてある。

世界警察と揶揄されるアメリカはテロ対策と銘打って各地の内戦に介入したり、抵抗する国家・勢力へ攻撃をし戦争を起こす。
彼らは戦争という市場で稼ぎ儲けて来たので、戦争バブルを自ら引き起こさないと生計が成り立たないのだ。
そんな軍事介入の裏で彼ら特殊部隊は泥沼化する前にとどめを刺すために暗躍する。

そんなウェットワーク(汚れ仕事)をこなしている中、また暗殺指令が下る。
ジョン・ポール…何者かはわからない。ただ民間人、しかもアメリカ人。
今までと違う何かを感じつつ任務にあたるが失敗してしまう。事前に逃げられていたのだ。
実はその前にも何度かジョン・ポールの情報を掴みつつも彼はすんでの所で逃げている。
CIAやDARPA(国防高等研究局)も目をつけるこの男、実は世界各地で内乱を勃発させる"トリガー"となっていた。
なぜか彼が訪れた後、その国では指導者が大量虐殺をし、国民が政府に牙を剥く。世界が恐れる危険人物。

そして任務だから、と人を殺める事に違和感を持たないクラヴィス。
軍に指示されれば何のためらいもなく対象者の生命を断つ。そこに正義も悪も感じない。
彼はジョン・ポールを追う中、彼の愛人ルツィア・シュクロウプと出会い意識が変わる。
任務を粛々と遂行する自分にも疑問を抱き始める。

…っとまぁこんな感じ。
この著者である伊藤計劃氏はメタルギアソリッドの大ファンであり、逆に小島監督が伊藤氏の作品のファンでもありという事で私のアンテナに引っかかったのだが、SFが苦手な私はとても苦戦した。
想像が容易い内容・描写でありながら、他に色々と読んでいないと楽しめないであろう文面が多すぎた。
「藤原という名の豆腐屋のワゴンが改造されて」というくだりがあったり、「リボルバーを持った白髪の老兵」が出てきたり…伊藤氏が好きだった作品群についてオマージュがふんだんに盛り込まれている事はわかるのだが、読んで(観て)ない私にはサッパリわからず。
ただ、オチに絡めたこの作品の言いたい事はザックリ掴めた。

とりあえず読了してホッとした。
また読み返すような事があるのかどうか…。
[PR]
by shivaryu | 2012-01-30 13:59 | 読書
調子に乗るとすぐ読める。
悪天に恵まれた(?)ので読書に一日を費やす事とした。

「図書館戦争」シリーズ二作目の「図書館内乱」に出てくる、キーともなる本がこの作品。
「内乱」にも本書のあとがきにもあるが、図書館シリーズとは別の出版社から発刊されるという何ともアクロバティックな試みをした本作。
しかも内乱の装丁へ「レインツリーの表紙を書き込む」という、あまり聞いた事の無い徹底したコラボレーションっぷりだったらしい。
私はただ「内乱」の表紙を見て「おぉ!」と声を出しただけだがw

「内乱」のエピソードにざっくりと本作の内容が描かれており、すんなり読めたというか、予習ができている分だけ主人公の迂闊な行動に先んじて"あーあーコレはやってもうたで・・・"と思ってしまうぐらい。
だから読了が早かったんだなぁ、うん。

主人公は普通のサラリーマン、向坂伸行という。
快活な二十代の青年で、爽やかであろう風がありありと伝わってくる。
中学生の頃に読んだラノベがあった。そしてそのラストに落胆していた事を思い出した。

・・・急な思いつき。こういうの割とある。私はすぐ携帯でググる癖がある。
彼も同様に自宅PCで調べてみた。
あのラスト、みんなどう思って読んでたんだろう。感想ってどうなんだろう。
・・・あるある。なかなか思うような検索に行き着かないのなw
これも同様。何ページか送った後にラストについて感想を述べるページを見つける。

あぁ、こういう解釈もあるのか。なるほど、そう受け取ったのかぁ。
おそらく読後のテンションが戻る瞬間。
こういう時間を共有できる友達や彼氏・彼女がいれば人生は何倍か楽しいことだと思う。
彼は十数年をかけてそんな人を見つけた気持ちだっただろう。

そのブログTOPへ行く。「レインツリーの国」
"ひとみ"という女性が書いているようだった。
衝動のままに彼女に感想文に対する意見を書き綴り送ってみる。
本人は返事を求めておらず、ただ感想の最後にあった一文「個人的な思い出を語られても面白くないですよね。失礼しました。」に対する答えをしたかった。
彼は探してたから。この本への感想を、特にラストについての感想を。
中学生時代に誰とも語れなかった話が出来る相手が「面白くないですよね」っていうのがフォローせざるを得なかったのだろう。
ここから伸行とひとみのメールが始まる。

徐々にメールのやり取りで心の距離を縮めた二人がどこかで会おうとなるのも現代ならば納得が行くというか、もうこのご時世で不思議な出来事でもない。
ただ、ひとみはメールのやり取りでは語る必要のなかった隠し事があった。
会おうとならなければ言う必要のない、彼女の心に秘めた闇の部分とも言える。

ぶつかり合いながら、惹かれ合った二人の恋のお話に涙ぐまざるを得ない部分があった。
いや、境遇とかそういうの、わからないです。
彼女の心の闇も、彼の過去にあった出来事も私には経験のない事なんでね。
取り繕って"うむうむ、わかるわかる"とは言える。
この作品を読んで仮想体験をしている分だけ、土台がないより経験値は1ほど上だと思う。
しかしリアルに体験していないから、正直なところ"気持ちはよ~くわかるよ!"とは言えない。
私にわかったのは、意思疎通をしようという苦労の部分。
生まれも育ちも違う人間同士が本当の意味で分かり合うなんてまぁない訳で。
でも、互いに距離を縮めあって、傷つけあうほど近い距離でも愛し合おうという努力をするのはわかる。
自分がもし彼の境遇にあったとして、これほど心を削って努力をできるだろうか、と振り返る。
もちろんできる。  ・・・と思いたい。

そんな、本作で言うなら「青春菌」に心を揉み解された一日、そして読後感である。
[PR]
by shivaryu | 2011-10-22 19:59 | 読書
著者はイルマヒトマさんと読みます。
なかなかにほのぼのしつつ、それぞれの心情描写が鋭いというか、入り込みやすい感じで、苦々しい気持ちになったりもする(かも?)

こういうの何ていうジャンル名かわからないので「阪急電車」系と勝手に言いますが…色んな人が不思議な繋がりで最後は幸せな気持ちにもなる作品です。
点と点が繋がって線になり、線が繋がり円になるというか。

ローカルなネタしか転がってないとあるネット掲示板にスレが立つ。
「カツ丼は作れますか?」

…仮に某どこかでこんなスレ立てても数レスもつかずに落ちてしまうだろう。
ま、そこはマイナーなBBSでのこと。スーパーの特売情報なんかと一緒に居座りつづける訳だが、そのスレを見た人々の反応が描かれていく。
厨二病の女性、童貞の高校生、退屈な夏休みを過ごす少女、ニートなのに同棲してる男。
それぞれがそれぞれのカツ丼を思い描き、このスレにレスを残す。
スレを立てた者もまた、そのレスを見て思い立って動き出す。

読後は微笑ましい気持ちになる。
読む時間がなくて読了に結構かかったけど、本好きな方ならスルスル読めるんじゃないかと思う。
積んでるの消化したら入間さんの作品、追っかけてみるかな。(いつになるやらw)
[PR]
by shivaryu | 2011-10-22 14:20 | 読書