あなたに、大切な香りの記憶はありますか?

文春文庫のオムニバス。
阿川佐和子、石田衣良、角田光代、熊谷達也、小池真理子、重松清、朱川湊人、高樹のぶ子の8人による「香り」をテーマとした読み切り集。

なかなか読む時間がなくて結構かかったなぁ。
でも一本がさほど長くないから、都度読み進めてやっと読了。
まぁ筋がそれぞれ違うから説明は抜きとして。
「コーヒーもう一杯」という重松清さんの話は同じ事があった訳ではないけど、似た思いを追体験するような感覚に陥り、すこし目頭が熱くなった。

私にとっての記憶に残る香り。
やっぱり珈琲かなぁ。カナじゃなく感じ。
自分で淹れる時にその記憶と共にある感覚を呼び起こしてむず痒いような気分にひたってしまっているのかもなぁ。
珈琲をよく飲むようになり、それなりに自分のこだわりが出てきたのは高校を出た頃だから、やっぱり大人になった感覚には珈琲の香りがあるし、生活とフィットしていたからどんな場面にもまとわりついていたのかも知れない。
ある時は仕事がうまく行かなかった悔しさ、気配りができず相手を不快な思いにしてしまった悔しさ…あれ、苦い思いが多いな、とか思う。
本文中に"コーヒーの味は不思議だ。それだけなら苦いのに、胸の奥に苦い思いがあると、それを包み込んで、むしろほんのりと甘くなる"とある。
読んだ時になるほどー、と思ったもんだ。
そして、自分はいつも苦々しい思いをしてるんだろうか、なんて振り返ってしまった。

苦さを知るからこそ甘みをありがたく感じるもんだから、まーそういうバランスだなぁ。
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by shivaryu | 2012-05-20 16:34 | 読書