虐殺器官/伊藤計劃

随分と長く時間をかけて読了したものだ。
感想もどう述べていいやら悩むものだ。

あらすじはこんな感じ。
時代背景は近い未来。
主人公はアメリカの特殊部隊に所属する男、クラヴィス・シェパード。
彼の主な任務は暗殺。
世界各地で起こる内乱にそっと介入し、主要人物を暗殺する。
世界の影の部分で蠢く仕事だ。

まず近い未来がリアリティ溢れる描写になっていて、およそ「2001年宇宙の旅」の描く未来とは似ても似つかない。
(あえて名作を貶める表現をさせてもらう。)
ここに出てくる「未来」は本当に近く世界で採用されてもおかしくないであろうと想像できるもの。
そんな世界の中へ、現代に見られる世界を切り取って貼り付けてある。

世界警察と揶揄されるアメリカはテロ対策と銘打って各地の内戦に介入したり、抵抗する国家・勢力へ攻撃をし戦争を起こす。
彼らは戦争という市場で稼ぎ儲けて来たので、戦争バブルを自ら引き起こさないと生計が成り立たないのだ。
そんな軍事介入の裏で彼ら特殊部隊は泥沼化する前にとどめを刺すために暗躍する。

そんなウェットワーク(汚れ仕事)をこなしている中、また暗殺指令が下る。
ジョン・ポール…何者かはわからない。ただ民間人、しかもアメリカ人。
今までと違う何かを感じつつ任務にあたるが失敗してしまう。事前に逃げられていたのだ。
実はその前にも何度かジョン・ポールの情報を掴みつつも彼はすんでの所で逃げている。
CIAやDARPA(国防高等研究局)も目をつけるこの男、実は世界各地で内乱を勃発させる"トリガー"となっていた。
なぜか彼が訪れた後、その国では指導者が大量虐殺をし、国民が政府に牙を剥く。世界が恐れる危険人物。

そして任務だから、と人を殺める事に違和感を持たないクラヴィス。
軍に指示されれば何のためらいもなく対象者の生命を断つ。そこに正義も悪も感じない。
彼はジョン・ポールを追う中、彼の愛人ルツィア・シュクロウプと出会い意識が変わる。
任務を粛々と遂行する自分にも疑問を抱き始める。

…っとまぁこんな感じ。
この著者である伊藤計劃氏はメタルギアソリッドの大ファンであり、逆に小島監督が伊藤氏の作品のファンでもありという事で私のアンテナに引っかかったのだが、SFが苦手な私はとても苦戦した。
想像が容易い内容・描写でありながら、他に色々と読んでいないと楽しめないであろう文面が多すぎた。
「藤原という名の豆腐屋のワゴンが改造されて」というくだりがあったり、「リボルバーを持った白髪の老兵」が出てきたり…伊藤氏が好きだった作品群についてオマージュがふんだんに盛り込まれている事はわかるのだが、読んで(観て)ない私にはサッパリわからず。
ただ、オチに絡めたこの作品の言いたい事はザックリ掴めた。

とりあえず読了してホッとした。
また読み返すような事があるのかどうか…。
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by shivaryu | 2012-01-30 13:59 | 読書