はじめまして、本棚荘/紺野キリフキ

タイトルに惹かれて購入。
読み始めたらするする進んだ。読了までおよそ3日。

「昔はね、家賃を払えない時は本で払ったものなのよ。」という大家さん。

これは東京のとある場所にある本棚荘のお話。
最初はこの冒頭の文章から「だから本棚荘なのかー」って思ってた。
違うのだ。このアパートの中ほとんどが本棚なのだ。
廊下はもちろん、各部屋にそれぞれ違う本棚が置いてある。

山に住んでいる"とげぬき師"の姉妹。
林業が盛んゆえ、とげぬきの仕事も繁盛していた。
主人公はその妹である。
姉はとげぬきの名人であり、その腕に頼るお客も多かった。
一方、妹も腕は確かなのだが姉とは違うようだ。
姉いわく「あなたは上手すぎる」のだそうだ。

姉は山だけでこんなに需要があるのだから、都会の東京にはもっと必要とする人がいる、そう信じて山を下りて都会へと旅立った。
山で祖母と二人で過ごしていた最中に連絡があった。
「もっと多くの人が必要としている。だから海外へ出る。お前は留守番をして欲しい。」
折りしも山のふもとの会社で事務員をしていたのだが、不況の煽りで辞めさせられたため、ちょっとだけ興味もあった事だし東京へ出る事にする。
そしてたどり着いた本棚荘。
そこに住む猫遣いの男、多くの時間を眠っている女・・・そしてとげ抜き師の妹。
ユニークなキャラ達との束の間の物語。

設定の不思議さもさながら、詳細に説明しない事で読者の想像に任せる部分が多い。
しかし説明していないのに、おぼろにどういう事なのか見える・・・ようで見えない。
そこに物語へ引き込む要因があるんだと思う。
主人公の「とげ抜き」に関してもそう。
冒頭に山に住んでいること、林業が盛んな場所であることがあるので、本当に木のトゲを抜く人なのかなぁと思っていたけど、徐々にトゲとはどのようなものなのかが話の流れに沿って明かされていく。

本屋さんで見かけたら手にとってパラっとめくってみて欲しい。
その瞬間にきっと引き込まれる事だと思う。
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by shivaryu | 2011-03-28 18:01 | 読書