生贄のジレンマ(上)/土橋真二郎

山田悠介っぽい作品だなと思ってつい購入。
こいつぁ重い・・・大人の私が、この作品の世界に感情を移入して「自分なら何ができるか」と考えると非常に重たい。

なんだっけ、こういう心理テストというか哲学問題?ってあるよね。
10人ほど乗ってるトロッコが進んでいってて、分岐点に差し掛かろうとしている。
分岐の先の、一方は崖になっていて、もう一方は人が1人寝転がされている。
はいトロッコの皆さん、分岐のスイッチはどっちにします?みたいなの。
一方は10人が全員死ぬ。 もう一方は寝転がされた1人が死ぬ。
数学的に考えれば、1人死んで10人生きるなら、生存者が多い後者の方が優位かも知れない。
どちらの答えも正しくもあり、誤ってもいる。 人それぞれの解釈によるから答えは玉虫色だ。
しかし10人は死んだ1人の犠牲によって生き残った事を抱えて行かなければならない。
ある者は「あいつのお陰で生き延びた」と思うだろう。
またある者は「あの場合は仕方なかった」と正当化するだろう。

さて・・・この作品はそういう話。
卒業を間近に控えたとある高校が舞台。
「生贄を募ります。制限時間は3時間です。
生贄となる者は校庭の大穴へ身を投じる事。それにより学年全員が生きられます。
誰も身を投じない場合、全員死にます。」
自分が生きるために他人に「死ね」とは言えない・・・普通は言えないよな。
逆に「お前らのために私が死ぬ」とも普通は言えない。
ただ、何もしなければ全員が死んでしまう。

他の多くを生かすために自ら大穴へ身を投じる事は、生贄の死に美談が添えられる。
あいつは立派に死んだ、と。
でも、卒業を控えた高校生達にそれを強いるか・・・あまりに絶望的。

今、中編を読んでいる最中で、最終巻の後編は12/25に発売されるみたい。
感想はもうちょっと後で。 もうオチが気になって仕方ない。
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by shivaryu | 2010-11-29 00:44 | 読書