キリン/山田悠介

今まで山田作品は古いものを読んでたんだけど、突然に最新作に手を出した私。
本屋でたまたま見つけたんですよ。
表紙があまりにかわいくて・・・(最近こういう本多いよね。)

で、今作は「精子バンク」のお話。
優秀な人間の精子を買って、優秀な子供を作りませんか?
そんな企業が出てくる。
主人公・麒麟はノーベル化学賞受賞者の精子から生まれた子供。
その兄・秀才(ヒデトシ)はIQ180の数学者から生まれた子供で3歳年上。
麒麟は5歳までは順調に育つ。兄と同様に小学6年レベルの教育は簡単にこなせるぐらいに成長する。
ここまで、学問的には同様なのだが、違うのは性格。
二人とも母の言いつけを聞いて学問に励むのだが、兄は基本的に無口で多くを語らない。というか聞かれても答えない。
比して弟は今日は何があった、こんなことがあったと母親にお話をする。
母親は最初は兄に愛情を注いでいたが、感情を持って接する麒麟に愛を注ぎ始める。

兄は8歳になり、高校生をも解けないような数学問題を解く頭脳となっていくのだが、麒麟は成長が止まってしまう。
どうしても中学生レベルの問題となると理解ができないのだ。
ノーベル賞をとった父親なのにどうして!?こんな子は認めない!と母親は麒麟をベランダへ設置した犬小屋へ隔離。
そして、さらには施設へ放り込み「なかったこと」にしてしまう。

・・・うわー、現実的にありそうな話じゃないか。
いつも思うのなぁ。勉強だけが優秀さに直結するのか?って。
確かに点数がハッキリ出て、経歴に残るからソコを重視するのはわかるけどさ。
勉強そこそこでも感情豊かな子供であって欲しい、って思うのは独身男の夢物語なのだろうか。
読みながら思ったんだけど、精子の出所が良くても母体がアレだと・・・とか思っちゃう。
この母親、劣等感の塊みたいな人で、いつか見返してやるみたいな事を考えてるの。
なんか・・・そういう母親だと生まれてくる子供も知れてるような気がして悲しくなるね。

しかし意に反してこの麒麟は感情豊かに育っていく。
とても優しく、思いやりがあり、人の気持ちを考えられる子供。
周りの冷たさとこの温かさの対比が涙を誘う。
そして(ちょっと読めちゃうけど)どんでん返しもあって、オチが退屈ではなかった。

およそ6時間をかけて読了し「うわ、早朝じゃねぇか」と後悔しつつ感想文を書いた次第です。
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by shivaryu | 2010-10-24 04:37 | 読書