ANA国内線【PR】
文春文庫のオムニバス。
阿川佐和子、石田衣良、角田光代、熊谷達也、小池真理子、重松清、朱川湊人、高樹のぶ子の8人による「香り」をテーマとした読み切り集。

なかなか読む時間がなくて結構かかったなぁ。
でも一本がさほど長くないから、都度読み進めてやっと読了。
まぁ筋がそれぞれ違うから説明は抜きとして。
「コーヒーもう一杯」という重松清さんの話は同じ事があった訳ではないけど、似た思いを追体験するような感覚に陥り、すこし目頭が熱くなった。

私にとっての記憶に残る香り。
やっぱり珈琲かなぁ。カナじゃなく感じ。
自分で淹れる時にその記憶と共にある感覚を呼び起こしてむず痒いような気分にひたってしまっているのかもなぁ。
珈琲をよく飲むようになり、それなりに自分のこだわりが出てきたのは高校を出た頃だから、やっぱり大人になった感覚には珈琲の香りがあるし、生活とフィットしていたからどんな場面にもまとわりついていたのかも知れない。
ある時は仕事がうまく行かなかった悔しさ、気配りができず相手を不快な思いにしてしまった悔しさ…あれ、苦い思いが多いな、とか思う。
本文中に"コーヒーの味は不思議だ。それだけなら苦いのに、胸の奥に苦い思いがあると、それを包み込んで、むしろほんのりと甘くなる"とある。
読んだ時になるほどー、と思ったもんだ。
そして、自分はいつも苦々しい思いをしてるんだろうか、なんて振り返ってしまった。

苦さを知るからこそ甘みをありがたく感じるもんだから、まーそういうバランスだなぁ。

色々と戦国時代というものが腑に落ちた読本。
漫画はオマケ、読物主体なので軽いものをと手に取ると大変な事になりますよ?

「センゴク」の宮下英樹さんの漫画で問題提起、本郷和人さんの解説で進行する。
この本では戦国時代とは何だったのか、侍の本領は何だったのか、侍とは大名とは何なのか、天皇・貴族と大名・侍の関係性…などなど、実際の史料の情報から仮説を立てて書かれている。
まぁ本当の正解ってのは無いので、こういう説があってこうだと思うよってな話になってますな。

その昔、中学とか高校で漠然と「六波羅探題」だの「征夷大将軍」「守護」「地頭」という地位の名前を覚えさせられてたけど、結局のところそれが何をしてて、どんな意味があったのかなんて考えてもなかった。
ただコトバとして頭に入ってた感じ。
まぁそういうのがどうして与えられていたか、名乗っていたかというような話がスーッと入り込んでくる感じで、すごく楽しめた。

戦国時代により理解を深めたい人は読んで損はないかと。
難しい専門書じゃないから平易な言葉でわかりやすく解説されてていいですよ。

生田斗真主演。んで、麻生久美子さんも出てる作品。
これ本当は映画館で観たかったんだよなぁ。
TVスポット見たんだか忘れたけど、気づいたらレイトショーで深夜に上映してて。

山の中の小汚いモーテル「シーサイド・モーテル」が舞台。
それぞれに思惑があり、順に描いていく人間群像劇。

主役はインチキ化粧品(ってかスキンクリーム)を売るセールスマン。
就職時に謳われていた「年一回の社員旅行」と称した行商の旅に出されている。
「持って出たクリーム全部売るまで戻ってくるな!」と。

そこへやってくるコールガールが麻生久美子演じる「CANDY」
部屋を間違えているのだが。

この二人の騙しあいがたまらなく面白い。
本当の愛って何?愛に偽りとかあんの?
なんかそういう感じ。

また別の部屋。
ドえらい格好した婦人を演じるのは小島聖。そしてひれ伏す男、古田新太。
股間をぐりぐり踏むご婦人とそんなイヤそうでもない雰囲気の男。
なに?こっちもコールガール?昼間っからこんなんばっかかよwと思ったらこちらはご夫婦。
忙しい仕事を抜け出し、ちょっとだけ夫婦旅行を・・・とやってきたこのモーテル。
さすがにこれじゃ機嫌も悪くなる。(主に旦那の「不能」っぷりにお怒りのようだが。)

そして別の部屋。
いかにもダメっぽいイレズミの男を山田孝之、くっついてきたバカっぽい女に鳴海璃子。
とにかく金なんて大して持ってない。ダラダラとホテルで過ごしている。
とりあえずピザを頼み、18時までに来るか来ないか賭けをする。
buzzzzzzzzとけたたましい音と共にやってきたのは・・・借金取り演ずる玉山鉄二と下っ端・柄本時生。

さらに別の部屋。
おしゃれっていうかハイカラな格好をした男、池田鉄洋。
スラっとしたスタイルのいい女、山崎真美。
キャバクラで知り合った二人。
出会って半年、今日こそ何とか落としたい!と力の入る38歳。
高級温泉旅館って言ったのにー、つって自分勝手にわがまま放題。
まぁ、そんなもん嘘ですよ。最初っから温泉なんて行かないのです。

とまぁ、それぞれ騙し騙されて一晩を過ごし、ホテルを出て行く訳です。
また日が昇って誰にも平等に朝は訪れるのです。
偶然に巡り合って歯車が合うなんて事はそうそうないものです。
でも、愛ってーのは何なのだろうかと考えてみてもいいかもなーって思うかも知れない作品です。
# by shivaryu | 2012-02-19 23:43 | 映画
そういえば書いてなかったので今さら書いてみる。
笑福亭鶴瓶主演

人間というものはかくも弱いものだ。
そして、医者という職業は人の生命を握る重要な仕事。
生まれてくる子を取り上げ、意識や脈がない人を死んだと決定する。
そこやここが痛いと言う人に何の痛みかを推察し、適切に検査し薬を与える。

いや、もっと単純に。
その存在だけで安心できる何かがある。
鶴瓶さん演じる医者はそういう感じ。

長らく無医村だったところにやってくるのである。
待望のお医者さんが。
村にすぐ馴染む、人懐っこい医者である。
そこへ一人の若い医大生が研修のために訪れる。
話はここから始まる。

弱い人間だからこそ、何か不安があれば取り除こうとし、安心を求める。
医者というのは身体に関する不安を取り除いてくれるものである。
時として病魔の根源を取り除く事もあるが、本来はまず気持ちの不安を取り除くものだろう。
・・・と、思っているんだけど。
医者とは何か、という事を考える作品なんじゃないかなぁ。多分。
# by shivaryu | 2012-02-11 00:00 | 映画
随分と長く時間をかけて読了したものだ。
感想もどう述べていいやら悩むものだ。

あらすじはこんな感じ。
時代背景は近い未来。
主人公はアメリカの特殊部隊に所属する男、クラヴィス・シェパード。
彼の主な任務は暗殺。
世界各地で起こる内乱にそっと介入し、主要人物を暗殺する。
世界の影の部分で蠢く仕事だ。

まず近い未来がリアリティ溢れる描写になっていて、およそ「2001年宇宙の旅」の描く未来とは似ても似つかない。
(あえて名作を貶める表現をさせてもらう。)
ここに出てくる「未来」は本当に近く世界で採用されてもおかしくないであろうと想像できるもの。
そんな世界の中へ、現代に見られる世界を切り取って貼り付けてある。

世界警察と揶揄されるアメリカはテロ対策と銘打って各地の内戦に介入したり、抵抗する国家・勢力へ攻撃をし戦争を起こす。
彼らは戦争という市場で稼ぎ儲けて来たので、戦争バブルを自ら引き起こさないと生計が成り立たないのだ。
そんな軍事介入の裏で彼ら特殊部隊は泥沼化する前にとどめを刺すために暗躍する。

そんなウェットワーク(汚れ仕事)をこなしている中、また暗殺指令が下る。
ジョン・ポール…何者かはわからない。ただ民間人、しかもアメリカ人。
今までと違う何かを感じつつ任務にあたるが失敗してしまう。事前に逃げられていたのだ。
実はその前にも何度かジョン・ポールの情報を掴みつつも彼はすんでの所で逃げている。
CIAやDARPA(国防高等研究局)も目をつけるこの男、実は世界各地で内乱を勃発させる"トリガー"となっていた。
なぜか彼が訪れた後、その国では指導者が大量虐殺をし、国民が政府に牙を剥く。世界が恐れる危険人物。

そして任務だから、と人を殺める事に違和感を持たないクラヴィス。
軍に指示されれば何のためらいもなく対象者の生命を断つ。そこに正義も悪も感じない。
彼はジョン・ポールを追う中、彼の愛人ルツィア・シュクロウプと出会い意識が変わる。
任務を粛々と遂行する自分にも疑問を抱き始める。

…っとまぁこんな感じ。
この著者である伊藤計劃氏はメタルギアソリッドの大ファンであり、逆に小島監督が伊藤氏の作品のファンでもありという事で私のアンテナに引っかかったのだが、SFが苦手な私はとても苦戦した。
想像が容易い内容・描写でありながら、他に色々と読んでいないと楽しめないであろう文面が多すぎた。
「藤原という名の豆腐屋のワゴンが改造されて」というくだりがあったり、「リボルバーを持った白髪の老兵」が出てきたり…伊藤氏が好きだった作品群についてオマージュがふんだんに盛り込まれている事はわかるのだが、読んで(観て)ない私にはサッパリわからず。
ただ、オチに絡めたこの作品の言いたい事はザックリ掴めた。

とりあえず読了してホッとした。
また読み返すような事があるのかどうか…。

# by shivaryu | 2012-01-30 13:59 | 読書